それは時間で決まるものではなくて、

ステマインストラクターのNさんが首都圏から離れた場所へ移住する。それにともなってNさんの特別クラスが開かれることになった。
彼女とはモスクワで数日、というか数時間だけの付き合いだった。ただそれだけの時間だったけれど、彼女のシステマに対する学ぶ姿勢や在り方は、とても感心したし、共鳴するものがあった。
私はモスクワで彼女との別れの際、「(Nさんに)二度と会えなくても、名残惜しくは無かった。」とブログに書いた。(私の居場所、還る場所 - 人見知り大図鑑
けれど、住む場所が離れて会える可能性が減るとわかると、もう一度、彼女に会いたい気持ちになり、参加の申し込みをした。私は気分屋なのだ。
彼女のクラスは『システマジャパン』で開催されるとのことだった。システマジャパンは、国内では数少ない法人化したシステマ団体だ。実は日本にあるシステマ団体のほとんどは個人の主催したサークルだったりする。*1
法人と個人サークルの決定的な違いは何かというと、システマジャパンは高田馬場に専用ジムをもっている。*2
私はシステマジャパンに行くのは初めてとなる。なんだか「本拠地」に乗り込むような変な気分だった。本拠地といえばシステマのモスクワ本部の方がまさしく「本拠地」で、昨年そこに乗り込んだわけだけど、なぜか日本の高田馬場の方が敷居が高い気がした。

当日は雨だった。高田馬場は学生街なのでにぎわっていたけれど、すべてが灰色がかってみえた。

 

ステマジャパン(一階部分)看板とかなくてわかりにくい……

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ステマジャパンの道場にはキャパシティいっぱいいっぱいの人がいて、Nさんの人望がうかがえた。久しぶりに会うNさんは相変わらず「清」という印象で、変わりなかった。
ワークの内容は書かない。それは秘密の特訓だからではなく、彼女の「感じる」ことを主体としたワークは書いても意味がないからだ。
私は途中で帰ることにした。
人口密度が高いところにいると私は気疲れしてしまうからだ。最近はだめだと思ったらだめになる手前で無理せず帰ることにしている。以前は最後までいようと粘ってはダウンをして、クラスの隅っこで死体モドキと化して邪魔になっていた。今はもう、いい意味で、システマへの執着はない。
帰り際にNさんと握手をした。「それじゃ」の挨拶の後に「また」とつけた。
やっぱり今回のお別れも「二度と会えなくても、名残惜しくは無い」と思った。けれど「また」と付けたい気持ちがあった。
彼女は「移住先にいつでも遊びに来てください」と言ってくれた。彼女の人柄から多くの人にそう言っているのだろうけど、うれしかった。
人とのつながりは時間じゃなく密度だと思う。
何年も一緒に暮らしている血縁であっても、それほど別れが悲しくない人もいれば、短い時間だけ関わった人でも心をえぐるような別れもある。
モスクワ同様、私は彼女と、ほんの少しだけだけど、そこでしかない時間を共有した。今回も、それでいいような気がした。
でも、今回は「また」という未来が付いた。
帰り道、雨はまだ降っていたけれど街は灰色ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:教えていることに違いは、たぶん、ほとんどない…のではないだろうか。よく知らないけど。

*2:他の団体は練習場所は公共施設やレンタルスタジオ