私は「わからない」に出会う。 その1

201X年某月某日。
私はロシアのモスクワいた。
確か私は、3、4年前まで、ほぼ引きこもりのような生活をしていたはず。
臆病な上に不器用で、人にも社会にも対応できない私は、ちょっとしたことで、すぐに自分の世界に閉じこもる。
自分は一生、閉じこもった方が、幸せなのかもしれない。そう思っていた。
なのに、なぜか私は、日本からはるか離れたモスクワにいた。
モスクワに来た目的は観光ではない。ある人に会って、あることを教わるためだ。
そのために、いまだ治らぬコミュ障をひっさげて、その場所に行った。
その場所の入り口には「 Единоборства Древней Руси Система」と刻まれた看板があった。
日本語に直訳すると「ロシアの古武術ステマ」という意味だ。 

話は3年前にさかのぼる。

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 気がついたら、私は歳をとっていた。
本当に何もしないまま、時間だけが過ぎていた。
この歳まで何もせず、ずるずると生きてきちゃったのだから、仕方ない。
これからも、自分の世界の敷居から出る事なく、死を待つだけの時間を過すんだろうなあ、なんて思いながら日々を過していた。
しかし、ある日、私は「それ」と出会ったことにより、自分でもわけがわからない方向へと踏み出すことになった。
……なんて書くと、まるで物語の主人公よろしく、抗えない何かに巻き込まれたかのように錯覚するかもしれないが、私は物語の主人公ではなく一般人様なので、単に「それ」を書店で買っただけである。

「それ」とはロシアの武術「システマ」の本だった。

「システマ」……ロシア軍に起用された軍隊格闘術騎馬民族コサックから発祥した武術といわれ、現在は民間に広まり、護身、身体操作として幅広く活用されている。

 

思わず最後に「民明書房刊」とつけたくなる衝動にかられるが、ちゃんと実在する武術である。
格闘だの武術だのの世界には、うっすらとした憧れは以前からあった。
なにせジャンプ黄金期世代で、スト2にドはまりした世代。
軍隊格闘術」「○○民族発祥」……そんなキーワードが、がっつりと中二魂に引っかかったのだ。
それとは別に、数ある格闘技、武術の中で、なぜ「システマ」だったかというと、格闘技の棚の本をざっと立ち読みした中で、一見単純そうで、一番わけがわからなかったからだ。
まず、型がない。反復練習もしないという。パンチをわざわざ「ストライク」と言い換えているからには、普通のパンチとは何かが違うのだろう。でも、どう違うのか。
さらに「先端から動く」「破壊の否定」とか、中二どころか小三魂までも刺激するわけがわらなすぎるキーワードが満載だった。
「システマは実際どんな感じなのだろうか。」
本を読めば読むほど、文字の羅列と想像だけでは補えない、その先があった。
通販番組のラストにフリーダイヤルが紹介されるように、本の最終ページにはシステマが習える団体とURLが載っていた。
練習場所は自宅からいける距離だが、私は人に会うのが怖い。初めていく場所が怖い。そして、なにより運動神経は目を覆うレベルである。
ステマの本を、読み返しながら、二晩ほど悶々とした。
いつもなら「まあ、そのうち申し込もう。(今はまだ怖いから。)」という仮決定のまま、どうでもよくなるというのが私のパターンなのだけど、この時はどういうわけか「とりあえず体験してみて、ダメだったらまた自分の世界に閉じこもればいい。」と思った。
どうせ死を待つだけの時間なのだから、一度くらい体験してみて、とりあえずこのモヤモヤをスッキリさせたい、という気持ちが大きかった。
私は、システマ団体のメールフォームに「システマへの参加を希望します。」と打ち込み、「送信」をクリックした。
ちゃんと送信したつもりでも、手が震えていたようで、なかなかカチリといかず、ちょっと手間取った。

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