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世界は摩擦を拒絶しない 

目が覚めると、自分が今どこにいるのかわからなくて、少し混乱した。
セミナーからホテルに帰ってきて、大泣きしたあと、疲れて寝てしまったのだった。
私は食べると機嫌がよくなると前に書いたけど、眠るといやな事とか結構どうでも良くなる。
やっぱり、単純な生き物だ。
寝たと言っても、30分程度だったようで、まだ日が高かった。
不思議なことに、眠りをはさむと、同じ一日でも第一幕・第二幕といった二部構成になったように感じる。
第二幕はせっかくだから、赤の広場にでも行ってみようかな、と思った。
このブログを読み続けてきた人は、もう予想がつくと思うけれど、私は観光地があまり得意ではない。
観光名所を観るのが嫌いとかではなく、たくさんの人にまぎれると自分がどこにいるのかわからなくなり、疲労する。そして、迷子になる。
それでも、ぱっと見てぱっと帰ってくる程度なら、大丈夫……多分。 

交通手段は地下鉄。
切符は距離に関係なく一律80ルーブル
地下鉄なのでエスカレーターで地下にもぐるのだが、そのエスカレーターが、おそろしく早い。
乗る地点でどのタイミングでどこに足を置いたらいいのか、動体視力が必要となる。

 

  ベラルースカヤ駅構内 ロシアの地下鉄構内はすごく綺麗で見ているだけでも楽しい。

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地下鉄はけっこう潜る。

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さらに、地下鉄の運転はとても荒かった。なのに、つり革がない。日本が安全運転なのかモスクワメトロが世界基準なのか。
「地下鉄は治安が悪い」「スリに注意」とガイドブックにはあったが、ここで書いた事以外は日本の地下鉄と大差なかった。

 

 

モスクワ中心部に到着。 

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初めて「異国だ!!」と思った。
道路も建物も、日本とはスケールが違う。それは、かつてあったソ連という、強大な国の強大な力の現われなのだろう。
そして、みまごうなき「観光地」。人だらけ。

 

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それでも、ワシリー聖堂くらい見ておこうと思ったら、赤の広場が閉鎖されていて入場できなかった。*1

 

入れません。

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そういえば、私は観光運がない。観光運なんて言葉があるかどうか知らないけれど、行った先で見たいものが改装工事中だったり、休館日だったりすることが沢山ある。
上野動物園にパンダを観にいった時は、パンダはお見合い(繁殖)で中国に出張中だったなんてこともあった。
ロシアまで来ても、観光運に嫌われた女なのであった。

せめてもの記念に柵ごしにズーム効かせてワシリー聖堂の撮影。

 

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私は赤の広場に振られた後、モスクワの街を少しだけ探索した。
迷った、ともいう。
異国の街で一人で目的なく歩いていると、体が勝手に透明になっていくような錯覚がある。
思えば、日本いる時も透明な感覚が強かった。

 

なんか由緒ありそうな建物。でも調べてないので何の建物か不明。

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私は長い間に人に会わずに、触れずに過ごしてきた。
私を傷つけるものがない世界。安堵の世界ともいえる。
でも気が付くと、自分と他者、世界を隔てる境界線があいまいになっていた。
外界からの刺激が極端に減ると、人は自分の体が自分のものじゃないような感覚に陥るという。*2
自分に身体がある実感がなくなり、自分が何なのかわからない。なのに、ただ、息苦しい。
人と会うことは刺激だ。物理的には摩擦だ。
親が子を慈しみ、その頬に触れるのも摩擦だし、敵対する相手と憎みあい殴り合うのも摩擦。愛を確かめ合う性行為だって、摩擦に過ぎない。
摩擦することは、多かれ少なかれ、傷つけあうことだ。
傷つけたくないし、傷つけられたくない。
でも、摩擦がなければ研磨もない。ダイヤモンドは磨かれないし、刃も切れ味を保つことはできない。
そして、人は人の中で摩擦され自己を削りだし、自分を形作る。

 

雰囲気からして有名なショッピングストリートの模様。

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これ、なんでしょう?夜になったら光るのかな?ヨーロッパ圏のイルミネーションは壁や草木だけじゃなく宙にまで飾ることが多いので。

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モスクワにもゆるキャラいました。

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ステマに初めて触れた日、私は先生にストライクをもらった。
それが私に長年忘れていた、「自分には体がある」という感覚を思い出させたのだと思う。
ステマを習い始めてから、人に全く触れることができなくなった時期があった。
自分と世界との境界線があいまいな状態で、他者に触れるのは、殻のない生卵のような自分を晒すようで怖かった。
「回復には思っているよりもずっと時間がかかる。」という。
私の回復はどれくらいかかる?人生の時間は有限だというのに。

ふと手に、ミカエルの手に包まれた時の感覚がよみがえった。
あの時、触れた優しく強いものも、物理的には摩擦に過ぎない。
でも、私はこの拳で、わからない「何か」をもらった。
Nさんには、あんな不貞腐れた返答しかできなかったけれど、システマには「何か」が、ある。
私には今、それを言語化できないし体言化もできないけれど、有限の時間の中で、いつか必ず、それがあることを証明する。
そのために私は、もっともっと、人に、世界に、「何か」に触れて、私の輪郭を手に入れる。
そう心の中でつぶやき終えたころ、地下鉄の入り口が見えてきた。
ベラルースカヤに、戻る。

 

 

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なんでもフォーム

*1:Nさんいわく、イベントなどがある場合その準備で入場できない日があるとの事。

*2:いわゆる離人症に近い。これは引きこもりか生活から外に出た人や独房に入っていた人なども同じようなことを語るので、体がそういったようにできているのだと思う。