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言葉、言の葉

ぼ~っとしているのがデフォルトな私は、ただぼ~っとしている時と、そうでないぼ~っとしている時がある。そうでない方は何をしているかというと、食べ物の味や香りを思い出したり、頭の中に映像が流したり、音楽が流したりしながら、ぼ~っとしている。
最近、この「そうでない時のぼ~っと」タイムに、よく流れる曲がある。
曲のタイトルはわからないけれど、2007年に流れていた集英社のCMの曲だ。

CMは超短編映画仕立てになっていた。主演は蒼井優さんで、ウサギのかぶり物をした子供(俳優名不明)と本を持って、旅をするという内容だった。2分に満たないこのCMソングに、私は心をつかまれて、You Tubeで何度も繰り返し見聴きした。

歌詞を書き起こしてみる。

 

言葉 言葉 言の葉

ただ言葉が並んでいるだけなのに

それは涙をこぼさせる

それは生きていこっかなって気持ちにさせる

それはあたたかかったりする

ただ言葉が並んでいるだけなんだけど

言葉 言葉 言の葉

夏の終わりに寂しくなる 理由が分かった

悲しすぎて笑ったりする 理由が分かった

夏一番 ナツイチ 夏一番 ナツイチ

私は世界を旅する 言葉をつれて

私は私を旅する 言葉をつれて

いつか出会うあなたに いつか出会う その時

あなたにあげる言葉を探そう

 

 

改めて書き起こしてみると、涙が出てくる。
言葉とは何なのだろうかと、思う。
私は沢山の言葉に出会って、力と希望をもらって、今日まで生きてきた。
でも、それと同時に、「もう生きていたくない」と思わせるほどの、言葉にも出会った。
なんて言うと、一方的な被害者のようだけど、私も言葉を発した際に、たぶん沢山の人たちを傷つけてきたのだと思う。
「たぶん沢山」をつけたのは、こちらは悪意がなくても傷つける言葉を言っていたかもしれないから。
言ってしまった言葉は、もう元には戻らない。そして、傷つけられた側は、その言葉を一生忘れない。たった一言が、希望や夢を奪い、人を殺すことだってある。
私は、昔はとてもよくしゃべる方だったけど、今は無口な方だと思う。
いつからか、自分の放つ言葉が、誰かを傷つけているのではと怖くなったからかもしれない。
おとぎ話の中に、なにかと引き換えに主人公が言葉を封じられるものがいくつかあった。*1そうやって、契約に使われるということは、自分の声で、言葉で、思いを伝えられないということは、苦痛だからなのだろう。
私の場合、誰とも話さなくても苦痛ということがないから、言葉を話せなくなっても、そんなに苦痛じゃないかも、と思ってしまう。いや、そうなってみると、やっぱり苦痛なのかな。「話さない」と「話せない」はまったく違うものだから。
ついでだけれど、私は話すのがとろい。まず、話す前に何を話すか考えるし、話している最中も次に何を言うのか必死に考えてしまう。さらに、人とあまり話さないので口が衰えていて舌がうまく回らない。
他の人が話しているのを聞いていると、どうしたらそんなに、よどみなく言葉がつらつらとでてくるのか、セッションのようにテンポよく言葉を交わせるのかが、不思議でたまらない。単に、世の中の人たちは、私よりもずっと頭が良いというだけかもしれないけれど。

この有様からすると、私は言葉で伝えられるものが、あまり多くないと思う。だけど、誰かに何かを伝える時は、できるだけ言葉を選びたい。別に名言・格言と言いたいわけじゃなく、最低限、その人の心の領域を侵さない言葉を使いたい。
そして、できることなら、「生きていこっかな」と思える言葉を誰かにあげられたら、いいかな、と思う。

 

いつか出会うあなたに いつか出会う その時

あなたにあげる言葉を探そう

 

 いつか出会うあなたにも、いつも会うあなたにも、あげる言葉を探して、私は今日も、ぼ~っとしている。

 

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 お返事はできませんが、なにか言いたい、聞いてほしいということがあったらなんでもどうぞ。もちろん、あなたがお話しした内容を第三者に言うことや公表することはありません。

なんでもフォーム

 

*1:「人魚姫」「白鳥の王子」など。

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